おれの先輩は酒飲みだった。
旅と孤独を愛する文筆家だ。
福生から茨城へ移り住んだあとも、よくハーレー飛ばして2時間半もかけて店まで遊びに来てくれた。
遊びに来るたびに、いろいろな手土産を持ってきてくれた。
どでかくて分厚いガラス製の灰皿は、いまも工房でヘビロテ・アイテムだ。
そして先輩が愛用していた革製のウエスタン・ハット。
こいつを見るたびに、思い出が蘇る。
先輩はもうこの世にいない。
死の直前まで遊びに来てくれたが、最後はほとんどメシも食わずに、酒だけをひたすら飲んでいた。
先輩の生き様はおれが忘れない。
骸骨とハットは永遠にこの店で楽しそうに佇んでいるはずだ。